転職限界年齢の真偽

35歳転職限界説」という言葉を、1度は聞いたことがある方は多いかと思います。
転職をするには、年齢の壁があるという通説です。
最近では、ミドル層(30代後半以上)の転職も活発となってきていますが、それでも絶対数で言えば、20代から30代前半の
若手人材に絞って募集する企業のほうが圧倒的に多くなっています。
今回は、転職と年齢の関連性について、我々の実感値としての見解をお伝えします。

 ◎採用する側(企業)が若い人材を欲しがる理由
雇用対策法によって、求人情報に年齢制限を記載することは禁止されていますが、企業側の本音の部分では、やはり年齢制限は存在します。我々の顧客先企業も「組織バランスを保つため」という理由や、「業界未経験者を採用するので、業務の習得がしやすいよう、
若手に絞る」といった理由で若手人材を求める企業が大半です。
「組織バランスを保つ」というのは、言い換えれば、年下の上司、年上の部下という状態にしないことです。
一昔前に比べれば、年功序列の色が薄い、実力主義の企業は増えてきていますが、やはり現実的には「上司=年上の人」という
暗黙の了解がある組織が多いのが実情です。
また、人は年齢を重ねれば重ねるほど、新しい知識を吸収したり、新しい環境に馴染むことに時間がかかる傾向にあり、
組織への定着率という観点でも若手の方が有利になります。実際に、30代後半や40代に入ってから初めて転職をした人が、
なかなか新しい会社に馴染めず、すぐに転職をしてしまい、そこから転職を繰り返してしまうというパターンも少なくありません。

 ◎転職者側も、年齢が上がるにつれて様々な面でのハードルが上がっていく
転職年齢の上限に関する話題は、採用する企業側の事情が注目されることが多いですが、転職者側の事情でも、
転職へのハードルが高くなることを知っておく必要があります。
同じ会社、同じ部署で同じ職種の20代の独身で賃貸マンション住まいのAさんと、
30代の既婚(子供2人)で持ち家のBさんの例を挙げてみます。
Aさん、Bさんともに、自分のキャリアアップのために転職を考えたとして、どちらが転職をしやすいでしょうか?

独身のAさんは、自分の生活のことだけを考えれば良いので、たとえ少し年収が下がったとしても、自分のやりたい仕事であれば
挑戦したいと考えるかもしれません。また、賃貸マンション住まいであれば、転職先が遠方であれば転居することが可能です。
一方、Bさんは既婚で子供が2人いるため、自分の収入が家族4人の生活に直結します。
自分が挑戦したい仕事があったとしても、収入が下がってしまうのであれば、その影響が家族にも及んでしまうかもしれません。
また、持ち家で、子供が学校に通っているのであれば、転居することも容易ではありません。
20代=独身、30代=既婚という設定は少し乱暴かもしれませんが、実際の転職市場では、はっきりとこの傾向は見てとれます。
また、現職の年収を考えても、
20代よりも30代の方が高いことが多いため、現職の年収が高い30代の方が転職先の選択肢は
少なくなり、転職の難易度は上がります。

 40代、50代になってから転職して活躍している人はたくさんいますし、逆に、若いうちに転職をしても上手くいかない人もいますので、
一概に
35歳が転職の限界年齢だとは言えませんが、全体的な傾向としては、やはり若年層の方が転職の難易度は
低くなるということが言えるでしょう。